崇城大学では、学生の将来を見据え、「幅広い知識・スキル」「キャリアの柔軟性」「学際的な視点の醸成」を目的とした学修プログラムを設置しています。これは、所属学科の専門科目に加えて、指定された共通科目や他学科の専門科目を体系的に履修することで、将来に向けて修得すべきスキルや、希望する領域の知識を深めることができる制度です。本プログラムの受講者には、就職活動の際にも強力なアピール材料となる、認定基準に基づいた3段階(Bronze・Silver・Gold)の「オープンバッジ」が授与されます。
この枠組みの中で、薬学部においては2026年度より「薬剤師地域偏在対策プログラム」が本格的にスタートしました。 全国的に薬剤師を含む医療従事者の偏在が進む中、熊本県においても長年にわたり薬剤師不足や地域間の偏在が問題となっています。さらに、自然災害により交通インフラが被害を受けると、復旧までに長時間を要するため、山間部などの過疎地では医療アクセスが一層困難になります。
このような状況を解決するため、デジタル技術を活用した「医療Dx」による対策が急務となっています。熊本県では、特に医療MaaS(Mobility as a Service)が積極的に取り入れられており、医療機器を搭載した車両に看護師や薬局スタッフ等が同乗して患者宅や公民館を訪問し、病院の医師とデジタル機器でつなぐ先進的な医療が進められています。八代地域では全国に先駆けて医療MaaSを用いた「オンライン服薬指導」が行われるなど、過疎地における先進的な薬学管理が実践されています。 本プログラムは、こうした過疎地医療の実際を間近で体験できる環境を最大限に活用し、地域偏在に対する深い見識を持つ薬剤師人材の育成を目指しています。本学ではすでに入試に「離島枠」を設置しており、入口から出口までを見据えたシームレスなプログラムとなっています。
本プログラムの特徴は、薬剤師の地域偏在解消に必須となる以下の「3本柱」を実践的に学ぶ点にあります。
これらは大学単独での実施が困難であるため、多くの外部組織との連携により達成されます。 さらに、本プログラムの設立にあたっては、文部科学省の支援事業に採択された際、熊本大学との協働で種々の研修を実施してきた実績がベースとなっています。この事業に参加した学生約30名が、学生団体「RICPT(地域医療偏在対策推進チーム)」を発足させました。 オープンバッジの取得には、講義での単位取得だけでなく、原則としてこの「RICPT」での課外活動(研修や実習)への参加が必須となっており、学生が主体的に企画・運営しながら実践的に学ぶ体制が整っていることが最大の強みです。
現在、2026年度入学のプログラム登録学生はすでに20名に達しており、順調な滑り出しを見せています。 社会に還元できる人材の育成には少し時間はかかりますが、本学の理念である「実学主義」のもと、医療DXのスキルと過疎地医療への熱意を併せ持ち、現場で確かな結果を残せる薬剤師人材を育成・輩出すべく、教員・学生が一丸となって取り組んでまいります。