PEG-ZnPP

ZnPPはプロトポルフィリンに2価の亜鉛が配位した構造を持つ。その構造はヘムに類似しており、ヘム代謝酵素の一つであるHO-1
(ヘム酸化酵素)に結合、その機能を阻害する。通常、HO-1は脾臓での発現が高く、ヘムの代謝に関与しているが、HO-1は腫瘍細胞での発現も高く、活性酸素種から腫瘍細胞を保護する役割を果たしている。HO-1の阻害により、腫瘍細胞は活性酸素に対して脆弱になるため、HO-1阻害物質であるZnPPは抗腫瘍薬としての応用が期待される。
本研究室ではZnPPにポリエチレングリコール(PEG)を結合した、PEG-ZnPPを開発し
た。PEG-ZnPPはZnPPに比べ高い水溶性を示し、生体内で高分子薬として挙動する。すなわち、難溶性であるZnPPに高い水溶性を付加し、EPR効果による腫瘍特異的なターゲッティングを可能にした。現在までにPEG-ZnPP単剤による抗腫瘍効果を確認し、さらに他の抗癌薬との併用効果についても現在検討中である。また光照射による活性酸素(一重項酸素)の生成を利用した光線力学的療法に関しての検討も行っている。 |